Atsushi Tadokoro 100 fragments

田所 淳 100 fragments

2018 3.23-4.21

exhibition

目の前に4K解像度のディスプレイがあったとする。その解像度は、3,840pixel × 2,160pixel、合計8,294,400pixelの画素が目の前に存在している。もし、毎分1pixelずつ休むことなく端から順番に塗り潰してみたとする。全てを塗り尽くすまでには15年以上の時間を要する。さらに、その画面は1秒間に60回の頻度で書き換えられている。想像が困難なほどの圧倒的な情報量だ。

我々は、普段何気なくWebサイトを眺めたりエクセルで事務作業している間も、膨大な情報を絶えず浴び続けている。無意識のうちに暴力的に情報に晒されている。

この作品は、100のコードの断片 (Fragment) から構成されている。一つ一つのコードは十数行のごく短かいものだ。しかし、この100のコードの断片を視覚的に認識可能な限界まで時間的に圧縮して実行していくことで、暴力的な様相を呈してくる。圧倒的な情報量は認識を阻害し、そこから意味を読み取ることを困難にしていく。

現在、インターネット技術の発達で、膨大な情報が高速に世界中を駆け巡っている。しかし、それは人類を幸福にしたのだろうか? 個人がSNSで自由に情報を発信できるようになった結果、世界は逆に断片化し息苦しいものとなっていないだろうか。

この作品を通して、情報の暴力的な側面、断片化される社会について感じて欲しい。

協力

田所淳|Atsushi TADOKORO
多摩美術大学非常勤講師 / 東京藝術大学非常勤講師 / 東京工科大学非常勤講師 / 慶應義塾大学非常勤講師 / 明治大学非常勤講師。1972年生まれ。クリエイティブコーダー。アルゴリズムを用いた音響合成による音楽作品の創作、ラップトップコンピュータを用いた音と映像によるLive Codingを行う。近年は音響と映像を融合したインスタレーション作品を制作。アルスエレクトロニカ・フェスティバルや東京藝術大学陳列館などで展示。クリエイティブコーディングに関する技術資料をWebサイト(http://yoppa.org/)で公開、多くの学生やクリエイターに活用されている。著書に『Beyond Interaction[改訂第2版]-クリエイティブ・コーディングのためのopenFrameworks実践ガイド』『Processing クリエイティブ・コーディング入門 – コードが生み出す創造表現』など。

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